自分は人間として生まれ、「普通」に成長して生きてきたと信じてきました。 大人になり歳をとると、自分の生きてきた時間によってもう少し長いスパンで人類について考えられるようになりました。 人類はどうやって自然を味方にするかを学び、この数千年間で爆発的に増えてきました。 それによって、他の生物は犠牲になってきました。 自然界では、良いものも悪いものもないと思います。 動物であろうが、植物であろうが、虫であろうが、ウイルスであろうが自分にふさわしい環境があれば増えていくのは当然だと思います。 人間は確かに今の地球上では一番繁栄している生物、結果論として一番優れた生き物だと言えますが、それは人間の目線から見た考えかもしれません。 現在、人類を恐怖に陥れているのは、目に見えないウイルスです。 ウイルスは生き物とは言いづらい、とても小さなものですが人間の命を奪ってしまう。 謎が深いウイルスと戦うために人間は頭を使い、ワクチンを開発していく。一つの戦闘ゲームのような感じがします。
このようなことを考え、角川武蔵野ミュージアムのための作品を制作しました。 この作品では、海のような宇宙のような空間で妖怪のような、 生物のようなものが絵の中心にある光を眺めています。宇宙の中で地球を眺めているようにも見えます。 よく見ると、妖怪たちはコロナウイルスの感染が広がった国々の形になっています:アメリカ、イギリス、ロシア、中国、インド、フランス、イタリア、スペイン、ブラジル、そして日本。 光は皆が求めているワクチンとも言えるでしょう。
このウイルスの存在はしばらく無くならないと思います。この作品を見た人が希望の光を見つけ、「太陽と10匹の妖怪」がこの時代を表現した人類の宝物になっていくことを願っています。