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Photo:Kenshu Shintsubo
鴻池朋子作品『武蔵野皮トンビ』 が登場
現代美術家・鴻池朋子の作品「武蔵野皮トンビ」が完成し、お披露目されました。
今回、鴻池朋子はミュージアムの外壁に作品を設置しました。この先一年に渡り壁に棲み続けます。
隈研吾氏による堅牢な岩の建築と、人間同様の脆さと有限性のある皮革を支持体とする鴻池作品の対照性がこれから何を見せてくれるのか?そしてトンビの身体に描かれた様々な生き物や景色、現象に、私たちは何を見るのか?コロナ禍のみならず、様々なシステムが限界を迎えつつある今、様々な問いを投げかけてくれるはずです。
《武蔵野皮トンビ》 鴻池朋子 2021
© 2021 Tomoko Konoike
Courtesy of Kadokawa Culture Museum
【作家ステイトメントより抜粋】
美術館の中か外かというならば、もはや私はどこであっても、その展示場所に特に違いはないような心持ちになっています。けれどもひとつ思う事は、美術館の中はとても安全で守られている、それが一番の弱点と感じるようになってきました。理不尽に聞こえますが、その"妙な感触"は、遡れば東北の震災を経たあたりからより自覚的になってきたように思います。感覚は言語に先行して情報を捉えます。人間にとって利点であるはずの、「守られている」ということを、なぜ直観力は弱点とするのか探ってみたいと思います。作品は牛革を縫い合わせ水性塗料を塗っただけの素朴な製法で、いわゆる「絵画」を屋外に晒しているような状態です。「動物の皮」は天候とやりとりしながら、約1年間、人間の皮膚のように経年変化しタフに歳とっていくことでしょう。<鴻池朋子>
【作家プロフィール】
1960年生まれ。様々な地上の物質、地形や天候、さらには観客の身体をもメディアとして取り込み、これまでの芸術を学際的に検証し、その根源的な問い直しを試みている。近年の個展2016年「根源的暴力」群馬県立近代美術館(芸術選奨文部科学大臣賞)、2018年「ハンターギャザラー」秋田県立近代美術館、「Fur Story」 Leeds Arts University、2020年「ちゅうがえり」アーティゾン美術館他。