企画展/イベント/ライブラリー
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Photo:Kenshu Shintsubo
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第2回 本棚劇場シネマ ~無声映画×活弁×生演奏~
100年前の無声映画を本棚劇場で上映
一昨年に実施し好評を博した「本棚劇場シネマ」が帰ってきます!
普段はプロジェクションマッピングを投影している本棚にスクリーンが設置され、1日限りのシアターに大変身!
映画の草創期となる約130年から100年前の無声映画を、本棚劇場で上映します。
場内には弁士、楽士が登場し、ライブで無声映画に台詞と音楽を付けて上演。
さらに当館の博物部門ディレクターである荒俣宏氏も出演し、無声映画について解説します。
今回上映する映画のフィルムと使用する映写機は、すべて評論家・紀田順一郎氏が収集した貴重なもの。
弁士が語り、楽士が奏でる活弁の世界。ぜひお楽しみください。
▲2023年10月に実施した、第1回「本棚劇場シネマ」での上映の様子
第2回「本棚劇場シネマ」について 紀田順一郎
今回ご覧いただきます映画は、私が多年にわたり収集したフィルム・コレクションの一部です。三、四十年にわたってコツコツ集めてきたものを、個人で約130本の収集を持続するのが非常に困難となりましたので、2020年、荒俣宏さんのご紹介で角川武蔵野ミュージアムに寄贈することができたのは、私にとって望外の幸せでした。
さらに2023年にはコレクションの中より粒選りの作品を本ミュージアムを会場として公開することができました。幸い非常に好評を博したので、ここに第2回を開催させていただきたく、ご案内申しあげます。
今日映画作品の収集といえば、何といってもDVDが主流ですが、アメリカでは戦時中に16ミリフィルムやその映写機が普及し、戦後も図書館などの視聴覚教育を中心にその流れが拡大したようです。やがて1960年代の後半、アメリカには古典的な名作のフィルムを発売する企業が出現しました。私がコレクションをはじめたのも、ちょうどそのころです。チャップリンの『独裁者』やキートンの『大列車追跡』などという名作が、フィルムの形で入手できるとわかったのは衝撃的で、ためらうことなく購入をはじめたものでした。
そのうちに同好の方々も現れたので、互いに情報を交換したり、上映会を催したりしたものです。まだパソコンなどが普及するはるか以前のことで、名簿作成や案内状などもすべて手書きで済ませたものです。
そのような時代は夢のように過ぎて、現在はすべてDVDの時代となってしまいましたが、私にはどうしても自分のコレクションを廃棄することができませんでした。フィルムには、他のメデイアにない別種の魅力が確実に備わっていると思うからです。
私の収集したフィルムは、その8割が無声映画です。これらの作品は、ご存知の通り明治末期から大正・昭和にかけ、映画弁士の解説と伴奏音楽入り(同時共演)が付きもののように考えられ、そこに独自の文化を生み出してまいりました。このたびもその形式に従い、原作をより楽しめるように、ベテランの弁士や演奏家にお願いしております。
末尾になりましたが、総監督の荒俣宏さん、角川武蔵野ミュージアムの本棚劇場スタッフの皆さんに、篤くお礼申しあげます。
上映作品
- 極地征服 The Conquest of the Pole(1912年公開) ※上映時間 約13分
監督・原作・主演 ジョルジュ・メリエス
<紀田順一郎氏によるみどころ紹介>
アメリカの探検家ビアリーが、1909年北極点の踏破に成功したことに触発され、映画の魔術師といわれるメリエスが、素朴なトリックを無数に駆使して製作した初期SF映画の名作です。
- 大列車強盗 The Great Train Robbery(1903年公開) ※上映時間 約11分
監督・製作・撮影 エドウィン・S・ポーター
原作 スコット・マーブル
<紀田順一郎氏によるみどころ紹介>
アメリカ映画史を彩った多くの西部劇の中で、第一号とされるのが本作です。非常にリアルな手法で、非情な列車強盗を再現しており、それまで無名だった監督のエドウイン・S・ポーターの名を、映画史に刻みました。ラストのクローズアップは、パートカラーですが、当時の観客は悲鳴をあげたそうです。退色が甚だしいのは残念です。
- 吸血鬼ノスフェラトゥ (1922年公開) ※上映時間 約68分
監督 F・W・ムルナウ
出演 マックス・シュレック
<紀田順一郎氏によるみどころ紹介>
ブラム・ストーカー原作の怪奇小説『ドラキュラ』の映画化(ドイツ映画)です。恐怖演出の巧みさには舌を巻く人も多いでしょうが、それ以上にノスフェラトウ役を演じたマックス・シュラックの特異な風貌が印象的という人も多いと思います。
上映会概要
●イベント名:第2回 本棚劇場シネマ ~無声映画×活弁×生演奏~
●観覧方法:実施日のスタンダードチケット、1DAYパスポートをお持ちのお客様は、ご観覧いただけます。
●実施日:3月22日(土)
●実施時間:10:30開場、11:00開演、14:00終了(予定)
●参加場所:4階 本棚劇場
●申込方法:チケット購入ページの3月22日から該当チケットをお選びください
出演者紹介
角川武蔵野ミュージアム博物部門ディレクター・荒俣 宏
1947年、東京生まれ。作家、翻訳家、博物学・妖怪研究家、風水師。慶応大学法学部卒業後、日魯漁業(現マルハニチロ)に入社。コンピューター・プログラマーとして10年間のサラリーマン生活をおくる。その間、紀田順一郎氏らと、雑誌「幻想と怪奇」を発行。英米の幻想文学などを翻訳しつつ、評論も展開。独立後は翻訳、小説、博物学、神秘学などジャンルを越えた執筆活動を続ける。また愛書家として知られ、稀覯本の蒐集家としても有名である。代表作に350万部を超える大ベストセラー『帝都物語』(日本SF大賞受賞)、古今の博物学の集大成といえる大著『世界大博物図鑑』(サントリー学芸賞受賞)などがある。京都国際マンガミュージアム館長。世界遺産熊野本宮館名誉館長。
活動写真弁士・山内 菜々子
栃木県那須塩原市出身。日本大学芸術学部映画学科在学中に師匠・澤登翠の活弁・講演を聞き弁士を志す。2010年澤登翠に入門。2013年6月「第659回無声映画鑑賞会」で弁士デビュー。
以降、無声映画鑑賞会に定期的に出演するほか、2017年には地元栃木県「那須温泉映画祭」にも出演。2019年公開、周防正行監督「カツベン!」に出演。2021、22年には全国7か所のミニシアターが主催する、小学生から高校生を対象とした「夏休みの映画館~忘れられない映画に出会う、夏。」に出演するほか、大学生が主催する「第32回東京学生映画祭」「ジェンダー・ギャップ映画祭」(いずれも2021年)に出演するなど、幅広い世代に向けて活弁上映を行っている。2022年には初めての海外公演(アメリカ)を実現し、国内外問わず活躍できる弁士となるよう、一層励んでいる。また、2021年4月~2022年2月まで集英社少女漫画アプリ「マンガMee」にて連載された『RAY-麗-大正キネマ物語』(作:ナスノマユカ)の監修協力を務めた。
ピアノ・丹原 要
岡山県出身。東京学芸大学卒業、日本芸術大学大学院修了。フォーレを中心に近代フランス音楽に傾倒。「音楽と言葉と身体表現が交じり合う舞台」を夢見つつ、演奏・音楽教育活動を続けている。「ジャック=ダルクローズ作品研究会」を立ち上げ、5冊の「ダルクローズ、ピアノ曲集(カワイ出版)」の校訂・監修に携わる。24年12月開催の「トーキョー活弁カルテット」の旗揚げ公演「ライブ!シネマ!」は新機軸の演目が評価された。
映画フィルムの収集者
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紀田順一郎コレクションとは
評論家・紀田順一郎は、古典映画の価値を評価するため、まだビデオすらなかった昭和40年代からフィルムを収集し、手ずから映写機で映写するという方法を採用した先駆者だった。このたび紀田氏のご好意により、秘蔵映画フィルムの8mmサイズの作品160点以上が当館に収蔵された。
注意事項
【本棚劇場イベントの際の注意事項】
※イベントの観覧は立見にてお願いいたします(立見が困難なお客様は本棚劇場内のスタッフまでお声掛けください)。
※イベント中はご自由に本棚劇場に入退場いただけますが、混雑状況により入場制限を設ける場合がございます。スタッフの指示に従って入場ください。
※イベント中は一切の撮影が禁止となります。
※イベント中は、本棚劇場で通常より大きな音が発生する可能性がございます。
【3月22日(土)本棚劇場へお越しのお客様へ】
※10:00~14:40の回まで本棚劇場のプロジェクションマッピングはご覧いただけません(予告なく時間が前後する場合がございます)。
※10:00~10:30、14:00 ~14:30はイベント準備のため本棚劇場にご入場いただけません(予告なく時間が前後する場合がございます)。
※10:00~14:30まで本棚劇場及びアティックステップにある書籍の閲覧はできません。また一部立入り禁止とするエリアがございます(予告なく時間が前後する場合がございます)。
開催期間 | 2025年03月22日[土] 〜 2025年03月22日[土] |
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開催エリア | 4F 本棚劇場 |