企画展/イベント/ライブラリー

Photo:Kenshu Shintsubo

  • 開催終了
  • 企画展

20世紀の美少女誕生 「ガーリー・アート」~少女漫画はこの子たちから~ ※会期延長

20世紀初頭のフランスで、日本の少女マンガにつながると言われる表現方法「ガーリー・アート」が誕生したことをご存知でしょうか?
「ガーリー・アート」とは、セクシーな表現を含めた“女性らしさ”を描いたアートのこと()。
セクシーなしぐさをした女性の絵や写真は、20世紀初頭のカラー印刷技術向上による印刷物の低廉化とあわさり、雑誌やレビュー(ミュージック・ホールで行われた踊りと歌を主体としたショー)のパンフレットなどに多数掲載され、フランスの大衆に行き渡るようになりました。
また、第二次世界大戦中のアメリカでは、政府が戦地の兵士たちを戦略的に慰めるために、セクシーな女性が掲載された雑誌などを送っていました。兵士たちは自分好みの女性を雑誌から切り抜いてテントの中にピンで貼っていたため、「ピンナップ・ガール」という言葉が生まれました。
日本では、大正期にフランスに留学した蕗谷虹児(ふきや・こうじ)が「ガーリー・アート」の影響を受け、人の感情表現に重きをおいた「抒情画」を普及させました。抒情画からは、登場人物の気持ちを表すという日本の少女マンガに通じる表現を見ることができます。
本展覧会では、フランスで誕生した「ガーリー・アート」が、時を経て日本の少女マンガへとつながる変遷を辿ります。


本展では、セクシーな表現を含めた“女性らしさ”を描いたアートを「ガーリー・アート」と定義しています。

一部作品の展示替えを行いました。

 

08_02_0138ラファエル・キルヒナー「ブロンドの髪_16図版」_DSC09565 

ラファエル・キルヒナー
《IL NEIGE EN SUISSE...》
ポートフォリオ『黒髪からブロンド髪まで』より
1914年

展示構成

<1章 雑誌が大衆化した20世紀>

◆「ガーリー・アート」の誕生
すべての美少女画の始まりとも言える「ガーリー・アート」。戦地の若者が守り札のように見つめた「ピンナップ」、大正期の憂いある「抒情画」、現代の「少女マンガ」などのルーツを探ります。

◆「ガーリー・アート」を描いたフランスの作家
ラファエル・キルヒナー、シュザンヌ・ムニエ、モーリス・ミリエール、ゲアダ・ヴィーイナといった、「ガーリー・アート」を描いたフランスの作家とその作品を紹介します。

◆セクシーガールとジャポニスム
19世紀後半フランスに日本の浮世絵が輸入され、また同時期のパリ万国博覧会に日本の美術品が出品されたことで、当時のヨーロッパでは日本美術に注目が集まり、いわゆるジャポニスムが流行しました。セクシーガールとジャポニズムの関係を探ります。


<2章 国境を越えるセクシーガールたち>

◆アメリカのピンナップ・アートと第二次世界大戦
まるでお隣のお姉さんを見るような日常感。戦地のアメリカの兵士たちは、愛するガールフレンドと出会うようにピンナップを眺めていました。彼らの生み出した「ピンナップ・アート」を紹介します。

◆「ガーリー・アート」を描いたアメリカの作家
アール・モラン、イノック・ボーレス、ジル・エルヴグレン、ビリー・デヴォース、ロルフ・アームストロングといった、「ガーリー・アート」を描いたアメリカの作家とその作品を紹介します。

◆日本にも伝わった「ガーリー・アート」~フランスから日本の少女マンガへ~
日本の娘風俗、芸者の立ち居振る舞いがフランスの若きアーティストたちの憧れとなり、一方日本では、大正期の女性たちが「ガーリー・アート」から生まれたセンチメンタルな「抒情」に感銘を受けました。両者の関係性を紹介します。


○【「ガーリー・アート」のトリヴィア】デザインの複製~あの絵があんなところにも!?~

当時の「ガーリー・アート」は、映画看板や銭湯の背景絵と同じく俗っぽい大衆のアートとみなされ、作者名の記録すらない場合が多く、画家の収入も少なかったと言います。画家たちは生活費を稼ぐために、一度使った絵の一部を変えて何度も使ったり、他人の絵をそっくり流用しました。その独特の「複製文化」を紹介します。



08_02_0138ラファエル・キルヒナー「ブロンドの髪_16図版」_DSC09567            08_02_0218ゲアダ・ヴィーイナ『LA BAIONNETTE』表紙_DSC09473

ラファエル・キルヒナー                 ゲアダ・ヴィーイナ
《LES PREMIERS LILAS》               『LA BAIONNETTE』表紙
ポートフォリオ『黒髪からブロンド髪まで』より      1919年5月
1914年

開催概要

展覧会タイトル:20世紀の美少女誕生 「ガーリー・アート」~少女漫画はこの子たちから~
会場:角川武蔵野ミュージアム4階 荒俣ワンダー秘宝館
会期:2024年2月3日(土)~9月30日(月)※会期延長
営業時間:10:00~18:00(最終入館は17:30まで)
休館日:毎週火曜日(火曜日が祝日の場合は開館/6月3日(月)~7日(金)は臨時休館)
※2024年4月30日(火)は臨時開館いたします。

主催:角川武蔵野ミュージアム(公益財団法人 角川文化振興財団)

チケット価格(税込): KCMスタンダードチケット
オンライン購入、当日窓口購入
一般(大学生以上):1,400円/中高生:1,200円/小学生:1,000円/未就学児:無料
*本展覧会の他、当館のスタンダードチケットエリアをご覧いただけます。
*「1DAY パスポート」「イブニングパスポート」でも入場いただけます。
*休館日、営業時間は変更となる場合があります。最新情報は営業カレンダーをご確認ください。
*展示内容が変更、または中止になる場合がございます。予めご了承ください。

 

開催期間 2024年02月03日[土] 〜 2024年09月30日[月]
開催エリア 4F 荒俣ワンダー秘宝館
Pagetop